ひとつの原点、学生時代に影響を受けた本

◾︎「エントロピーの法則」ジェレミー・リフキン著/竹内 均[訳]

 環境問題について考えるきっかけとなった本です。「地球は遅かれ早かれ壊れてゆく」というエネルギーの視点を前提に、その「壊す速度」を少しでも緩やかにすることが未来の子供たちへの愛ではないか。そんなことが書いてありました。ボク自身は環境問題に対して強い意識は無いのかもしれませんが、自分に出来ることはしていこうと思うようになりました。この本はまた、現代人の勤務日数にも触れていて、大昔の暮らしなら週に3日の狩りでも生きて行けたのに、今は川を渡るために橋を架け、海を渡るために飛行機を作るなど、生きるための道具を増やしたことで、作る時間や管理する時間を自ら増やしているというメッセージに打たれました。

◾︎「小説 上杉鷹山」童門冬二 著

 江戸時代の中期、大赤字で火の車だった米沢藩を黒字に回復させた名主。その方法が時代にそぐわぬ「民主主義」であったことが今に伝わっています。武士は威張り、農民は虐げられていた時代。すでに戦が無くなり「今は農民こそ宝」だと武士を説き、自ら鍬を持ち、武士の庭に畑をつくり、自由な発想で大貧困を救ったと言われます。偏見無く物事を平らに見る視点と、問題を打破する想像力にあふれていて、人々がときほぐされていく様子には肩を震わせました。佐藤文四郎との主従関係も美しいのですが、もうひとつ、学問の師・細井平洲の教えも素敵でした。学ぶことは「善悪の判断」を磨くこと。また、どんな悪人でも、例えば子供が井戸に落ちそうにバランスを崩していたなら、救いの手を反射的に出してしまうものだとする「見えざる手」という性善説に納得しました。

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