食のそもそも話 68 ✳︎ 旬を目利きするもうひとつの視点『場所によって温度がちがう(前編)』日本はタテに長い

 

【前説】
食のそもそもシリーズは2023年2月にスタート。
ほぼ毎週1話ずつ、野菜のあれこれページに綴っています。
 
 
内容は、野菜や調味料の目利きとその仕組みについて整理しています。
(14年前の何も知らなかったボク自身に説明する様に、書いています)
 
 
食の ” そもそもの性質 ” をみなさまと共有して、「社会をもっと面白く豊かなものにしたい」というのがボクの野心です。
このシリーズはその第一歩。
ぜんぶが書き終わったら、これを脚本にして、動画または音声で発信していく予定です。
 
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【キーワードの説明】
旬(しゅん)・・・その野菜が自然に育ちやすい時季。元気に育つだけでなく、たくさん実りをくれます。舌にも美味しく、身体にもやさしく、お財布にも嬉しい。旬を意識するだけで人生が豊かになると信じています。
 
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さて、63〜67では旬の ” 4つのメリット ” を書いてきました。美味しい / 安い / 栄養価が高い / 安全(率が上がる)
 
 
そして旬の野菜の見極め方を62に書きました。
 
 
が、いざ旬を目利きしようすると、62に書いたことだけでは難しいかもしれないと思いました。
少なくとも、もうひとつの視点
 
 
『場所によって温度が違う』
 
 
を意識すると、より精度があがるはずです。
 
 
日本は縦に長いですから、沖縄や鹿児島などから暖かくなり、同じころに北海道は寒いのでしょう。
 
 
また、日本は山が多いです。
山の上に行くほど寒く、同じ地域でも里は暖かいものでしょう。
 
 
今回は、前者の ” 日本は縦に長い ” ことについて整理してみましょう。
 
 
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南は暖かく、北は寒い
 
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沖縄で桜が咲くころ、北海道では流氷 (りゅうひょう)が見えるのでしょう。
縦に長いことが日本の野菜を豊かなものにしているのだと思います。
 
 
昔とちがい、今はトラック便が深夜を駆け抜けて野菜が運ばれて来ます。
身土不二 (しんどふじ)、地産地消 (ちさんちしょう)という考え方も尊いものだと思いますが、せっかくの物流を有難いと考えても良いのではないでしょうか。
 
 
そうやって考えて、スーパーマーケットや八百屋の売り場を見てみます。
旬の野菜はどれだろうと、意識してみます。
 
 
今は夏の終わり?秋の始まり?(これを書いたのは、2024年9月28日)、北の産地では昼間は20度ほど、九州はまだ30度を超えています。
 

そうやって、今ご自身が暮らしている場所だけでなく、売り場には『全国いろいろな場所の ” 温度 ” が並んでいる』と考えます。
 
 
たとえば今はまだ暑さが残っていても、北の産地の秋野菜が並んでいたら、一足先に秋がはじまったのだなと、有難く北の産地を選んで良いと思います。
 
 
旬(しゅん)は、その野菜が無理なく自然体で育ちやすい季節です。
夏の終わりに秋野菜を買うとしたら、関東のものよりも北の産地の野菜が旬だと言えます。
逆に夏野菜を買おうとするなら、南の産地を選ぶと良い、ということになります。
(注 / 山と里の高低差については次回)
 
 
もちろん、産地が遠いと少なくとも1日は鮮度が落ちますので選択は自由です。
また、そもそもシリーズで何度も触れるように、どんなタネか、どんな土か、どんな育て方か、そうしたことも大切です。
 
 
肌に感じる温度だけでなく、売り場では全国の温度(季節)に想いを馳せて、産地を想像しながら買い物をするのも楽しいのではないでしょうか。
 
 
次回は、旬を目利きするもうひとつの視点『場所によって温度がちがう』 (後編 / 日本は山が多い)を書いてみます。
 
 
2024年9月28日 月田商店 月田瑞志