食のそもそも話 49 ✳︎ 土を ” 豊かな世界 ” にする 〜天然マルチ(稲わら)の意味〜

 

食のそもそも話は46から土と野菜の話に移っています。
里芋の疫病が大流行した2020年、逆に里芋が大豊作だった横山さんの畑をモデルにしてその中身を考察しています。
 
 
横山秀男さんの畑では野菜の下に「稲わら」を敷いて天然マルチにしています。
一般にはビニールマルチを敷いていますね(たいていは黒色)
 
 
天然にしてもビニールにしても、マルチをする理由は、
 
 
雑草が生えるのを防いだり、土を温めたり、水分の蒸発を防いだり、雨の日に泥はねを防いだり(泥がつくと野菜が病気になることがある)、そんな理由が一般的です。
 
 
横山さんの畑(自然農業)では「稲わら」は大きな意味があります。
そのためもあって横山さんはお米も育てています。
もちろん上に書いた様な一般的な意味も含むのですが、そうではない理由があります。
食のそもそも話47の最後に書いた数行を詳しく書いて行きます。
 
 
【稲わらを敷くと地上の微生物が地下に引っ越す】
風が吹くと桶屋(おけや)が儲かる※ のように説明していきます。
とても簡単なお話しです。
 
 
ポイントは「分断しない」
 
 
稲わらを敷くと、日陰ができます。
日陰ができると、土が湿ります(水分が蒸発しにくい)。
土が湿ると微生物が増えます(微生物は水が大好き)。

 
大切なポイント、
稲わらに暮らす微生物、土に暮らす微生物、どちらも水が大好きなので、それぞれが増えます。
 
 
微生物が増えると、それをエサにする生きものたちが増えます。
ミミズや虫たちが増えます。
 
 
ミミズや虫たちが増えると、それをエサにするモグラも現れます。
ミミズやモグラは土の中にたくさん穴を開けます。
穴が開くと、地上から地下に空気が入っていきます。
 
 
空気が入っていくと、空気が大好きな微生物(好気性微生物)が一緒に地下に引っ越していきます。
地下に暮らす空気が嫌いな微生物(嫌気性微生物)たちだけだった世界に、あらたな仲間が加わり、共存の世界になります。
 
 
こうして地下の微生物の世界に多様性ができます。
食のそもそも話48で書いた様に、微生物の多様性はミネラルの多様性(約90種に期待)につながります。
 
 
まとめると、稲わらを敷くと、地上の微生物が地下に引っ越して、多様な土になる。
 
 
こうして横山さんの畑は微生物に多様性があるのだと思います。