食のそもそも話 52 ✳︎ 「耕さない」ことの意味を考える②栄養をもらい、守ってもらう

食のそもそも話は、食材や調味料を選ぶ際の ” 目利き ” になるように、自然科学の視点から考察を重ねています。
 
 
1〜28はタネの話
30〜45は海の話(身体と密な関係)
46からは土の中を考察しています。
 
 
過去の分は「野菜のあれこれ」に残しています。
ほぼ毎週1話ずつ。先の予定は

 

60〜植物のこと
80〜微生物のこと
100〜発酵のこと
120〜遺伝子のこと
ざっくりそんな感じです。
 
 
さて、50〜54 (予定)まで、「耕さない」意味を考察しています。

 
 
今回は微生物と根っこが一緒に暮らしていることに注目してみます。

 
 
【住み家を壊さない】※ 住み家のお話は次回にくわしく
耕さないことで、その土地に暮らしている微生物たちの住み家を壊さずにすむので、微生物たちが豊かな世界を作り上げていると考えます。
(耕した畑でも有機的な畑であれば微生物はいますが、耕すことで一度その住み家を壊すことになります)
 

 
そこに種が芽を出し、根をはり、伸びていく。

 
 
【お互いに交換している】
このときに、周りに微生物たちがいて、一緒に暮らす関係になれば、微生物たちが土の中の栄養を離れたところから運んできて根っこに渡してくれる。

 
 
代わりに根っこは、地上の葉っぱが太陽を浴びて、光合成でつくり出したブドウ糖を微生物に渡す。

 
 
お互いに良い関係で暮らしている様です。
 

 
根っこの性質を2つ、整理します。

  

【根っこは近くしか触れない】
ひとつは、根っこは微生物がいなければ、その周りの少しの栄養しか得られないそうです。
これでは植物として健康に成長できません。
微生物が動いて遠くから栄養を運んできてくれることが何よりありがたいのですね。

 

【孤独な根っこは寿命が短い】
ふたつめは、根っこはそのままでは寿命が短いと言われています。
微生物と一緒に暮らしていく関係が築けなかった「孤独な根っこ」は1週間〜3週間ほどで枯れてしまうと言われています (部分部分の根っこの話)
対して、微生物から栄養がもらえれば、その根っこは健康に長生きできる様です。
根っこの寿命は、次に書く「膜」も関係していると思います。

 
 
次に、微生物の特徴をひとつ。

 
 
【根っこを守る膜 (まく)をつくる】
微生物の中には根っこを攻撃する者たちもいる様です。
そうした敵が根っこを攻撃すると、根っこは傷んで枯れてしまうでしょう。
そこで根っこと関係を築いている味方の微生物たちは根っこに膜 (まく)をつくって守っていると言われています。