食のそもそも話 ✳︎ 54 「耕さない」ことの意味を考える④ 〜菌糸ネットワークで強くなれる〜

 

食のそもそも話は、食材や調味料を選ぶ際の ” 目利き ” を自然科学の視点で深掘りしています。
ほぼ毎週1話ずつ。
過去の分は「野菜のあれこれ」に記録しています。
 
 
1〜28はタネの話
30〜45は海の話(身体と密な関係)
46からは土の中のことを書いています。
 
これから先の予定
60〜植物のこと
80〜微生物のこと
100〜発酵のこと
120〜遺伝子のこと
ざっくりそんな予定です。
遺伝子は今勉強中ですので、書き始めるころに知識が追いつく予定です。
 
【菌糸ネットワークの発見】
2022年11月、NHKで「超進化論 第1集 植物からのメッセージ〜地球を彩る驚異の世界〜」が放送されました。
 
最新の研究でわかった植物の新事実をわかりやすい映像で伝えています (NHKオンデマンドで2024年11月30日まで視聴可能)。
 
その中で植物同士が助け合って栄養をやりとりしている様子を実験で映していました。
(イラストは超進化論の書籍版62ページから切り取り)
 

 
真ん中にはマツ
両どなりにはカシノキ
マツとカシノキの間を区切るのですが、
左側はプラスティックで完全遮断、
右側はメッシュにして微生物だけが通れる様になっています。

カシノキは黒い布で覆ってしまうため光合成が出来ません。
6ヶ月後、左側のカシノキは枝だけの姿になり、葉っぱは一枚もありませんでしたが、右側のカシノキは元気に葉っぱも生きていました。
 
そこで真ん中のマツに特殊な二酸化炭素を吸わせて栄養の動きを調べたところ、マツが光合成で作った栄養が菌糸をつたってカシノキに運ばれていることが明らかになったとのことです。
 
微生物がたくさん暮らしていれる土では、土1グラムの中の菌糸を伸ばすと10kmにもなると言われています。
 
森ではこうして違う種類の植物同士に栄養を分け合っている様です。
つまり、乾燥に強い植物、長雨に強い植物、暑いのが苦手な植物、寒さに弱い植物など、様々いる中でお互いに栄養を分け合うことで『保険』をかけているのだと思います。
 
畑でも同じだと思います。
 
例えば横山さんの畑(46参照)では野菜と野菜の間に草を生やしたままにしています。
横山さんの畑は草や枯れ葉などで覆われて茶色い土があまり見えないくらいになっています。
 
こうした畑では、野菜と草が栄養を助け合っているのではないでしょうか。
特に10年ほど前から気候の変化が激しくなったと周りの農家さんたちがおっしゃいます。
以前なら暦(こよみ)に合わせて種をまけば良かったけれど、今ではそうはいかなくなったと言います。
 
昨日、野村農園さん(岐阜県高山市国府町)の朝の温度は1度だったそうです。そして昼間は25度。
 
こうした気候の変化に対応するには、植物同士の助け合いを活かした横山さんの様な農業が強くなるのではないかと、そう考えています。
 
2024年5月11日 月田瑞志