品種改良ってなんだろう?
野菜の品種改良は「交配」を利用します。
交配 = 花粉を別の花のめしべに付けること。
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交配はミツバチに手伝ってもらいます。
2種類のちがう野菜を交互に植えて、花が咲いたらミツバチを飛ばします。
少し時間を置いて、片方の野菜をブルドーザーて潰してしまいます。
残った1列には「交配」されたタネが育ちます。
これが良く言う品種改良でF1種と呼んでいます。
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交配した野菜のタネを翌年まくと、雑種の野菜が育ちます(F1種)。
なぜ雑種にするかと言うと、理由は4つあります。
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① カタチがそろう
ちがう野菜同士が受粉して、たとえば人参のタネが1000粒採れたとします。翌年まくと、1000本の人参がほぼ同じカタチで育ちます。
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② スピードがそろう
同じように、1000本の人参は同じ日にぜんぶ収穫出来ます。①と②をメンデルの優性の法則と言います。今から150年ほど前にオーストリアの植物学者が発見した植物の性質です。
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③ そもそも、よく育つ
その1000本の人参は早く大きく育ちます。専門用語では「雑種強勢(ざっしゅきょうせい)」と言います。交配させる野菜が遠い仲間であるほど、このチカラが強く働くことがわかっています。
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④ 性質がまざる
たとえば人参は冬の野菜ですので、夏が苦手です。そこで夏でも育つ遠い仲間を交配させて、季節をずらして育つF1種のタネを開発するのです。
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デメリットが3つあります。
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❶ 特徴が薄まります。
ふたつの野菜を交配させるので、特徴がどれも一様になっていきます。たとえばF1種の人参AとF1種の人参Bはそれほど味がちがわない、ということが起こります。
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❷ 味よりもまずは生産性
綺麗に大きく育つことが交配の目的になり、味わいは二の次になります。
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❸ 雄性不稔(ゆうせいふねん)
野菜には何万株に1株くらいの割合で、雄性不稔が見つかります。「雄の性質が稔(みの)らない」、つまり雄しべがクシャクシャで花粉を作れない野菜が見つかります。F1種の開発には雄性不稔の野菜が多く利用されています。一般に流通している野菜の多くはこうした野菜です(雄性不稔について、詳しくは別の機会に🌱)。
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※ 雄性不稔の是非は意見が分かれています。
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危険視派は、「遺伝子のバグ」を食べていることになり、人の身体にも悪影響があると心配しています。雄性不稔を使い始めた戦後以降に人間の精子に元気が無くなったことが例にあがったりします。
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大丈夫だろう派は、雄性不稔は植物が多様性を手に入れるために手に入れた「機能」でだと考えれば自然界なこと。それに、もし仮に遺伝子のバグだとしても食べてしまえば胃液で分解されるだけ。精子に元気が無くなったのはその他の環境が複合的に影響しているだけかもしれない。
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雄性不稔の是非については、「わからない」が正解だと思っています。
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月田商店では、固定種や在来種といった昔ながらのタネをとても大切に考えています。