よもやま話 その2 「F1種の誤解② F1種でもタネは採れる」
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よもやま話その1ではF1種(※1)は悪い言葉ではないと書きました。
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それは F1種というのは ” 植物の性質(メンデルの法則)を活用したタネ ” というのが言葉の意味ですので「言葉そのものにネガティヴな意味は無い」ということをはっきりさせたかった為にそう書きました。
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それでは F1種がときに悪く言われる理由はなんでしょう?
よく耳にするのは「 F1種は2代目のタネがとれないのでしょう?」という言葉です。
これははんぶん正解ですが、はんぶん誤解です。
今日は ” はんぶん誤解” の方を書きます。
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きっと整理が必要ですね。
その1 F1種自体は悪いことばではない
その2 F1種でもタネは採れる
その3 タネが採れないF1種がある
その4 どうして雑種にするの?
その5 そもそもタネはどうやって実る?
その6 F1種のメリット、デメリット
こんな順番で書いていきますね。
(固定種、在来種の話はそのあとに😌)
今回はその2を書きます。
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F1種の誤解②タネは採れます
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実際に岐阜県の野村農園さんは10年ほど前ににタネメーカーから買ってきたF1種のタネを畑にまいて、そのうち良さそうな胡瓜を大きく育ててタネを採りました。
それからずっとタネ採りを繰り返しています。
F1種でもタネは採れます。
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それではどうして多くの農家さん(現代)はタネを採らないのでしょう?
(一部の野菜をのぞいて、タネ採りをしている農家さんは1万人に1人か2人くらいではないかと思います)
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タネを採らない理由は、 F1種から採った2代目のタネを畑にまくと、こんどは品種がバラバラになってしまうからです。
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その1で書いたメンデルさんが発見した法則は大きく2つあるのです。
▪︎ メンデルの法則①
雑種にすると1代目はそろって育つ(カタチ、大きさ、スピード)
▪︎ メンデルの法則②
2代目(これをF2と言ったりします)は雑種にしたそれぞれの親やご先祖がバラバラに顔を出す(白菜が出たり、小松菜が出たり)
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F1は1列まるごと収穫できますが、F2は何が出てくるか分からない。
なので農家さんは毎年タネを買うのです。
F1種はタネが採れないのではなく、効率を求めてタネを買っているわけですので、2代目のタネを採る理由がないのです。
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前回からの話を整理しますね。
▪︎ F1種は悪い言葉ではない
▪︎ 雑種にすると1代目はそろって育つ
▪︎ F1種でもタネは採れる
▪︎ だけれど2代目はバラけてしまう
▪︎ なのでタネを ” 採らない ”
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その3ではF1種の誤解③「タネが採れないF1種がある」を書きます。
※1 一代雑種(First Filial Generation)のタネ・・・大手タネメーカーが販売。畑にまくと1回目(1代目)に限り品質がある程度そろった野菜が収穫できるが、2代目にはある理由で期待できません。