食のそもそも話 6 ✳︎ 「F1種はタネが採れない」は半分本当
F1種には課題点が残っているのです。
それは問題なのか、大丈夫なのか、意見が分かれています。
「雄性不稔(ゆうせいふねん)」
これが今日の本題です。
多くの野菜が雄性不稔になっていて、花粉が出来ない野菜をボクたちは食べていると言われています。
その説明をする前に、まずは「除雄(じょゆう)」を伝えなければいけません。
今日は2段仕込みです。
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はじめは除雄(じょゆう)をしてF1種をつくった
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F1種は雑種です(食のそもそも話1参照)
片方の野菜のメシベにもう片方の野菜の花粉をつけることで交配して雑種にします。
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ですが、多くの野菜(植物)は男と女が合わさってひとつの植物として存在しています。
別の植物には目もくれず、身内同士で受粉して、なかなか雑種になりません。
代表的なふたつのパターン
【同じ部屋パターンの植物】
ひとつの花の中に両人仲良く
おしべ(男)の花粉が
めしべ(女)に受粉します
例)トマト、茄子、ピーマン、オクラetc.
【となり部屋パターンの植物】
同じ茎に雄花と雌花が別々に咲いて
雄花(男)の花粉が
雌花(女)に受粉します
例)胡瓜、カボチャ、冬瓜、スイカetc.
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雑種※ にするためにはおしべ(または雄花)が邪魔なのですね。
※ 雑種にする理由は食のそもそも話 1、1-2を参照
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そこでF1種にするために強引にいきます。
おしべ(または雄花)を人の手で取り除いて、身内同士では受粉出来ない状態にします。
→専門用語で「除雄(じょゆう)」と言います。
この状態で隣に別の野菜(植物)の花があれば、ミツバチetc.が飛び交って別の野菜同士の花粉がつき晴れて雑種になります。
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さて、次が今日の本題です。
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今は雄性不稔(ゆうせいふねん)を使っている
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雄性不稔→雄(オス)の性質が稔らない
つまり初めからオシベが花粉をつくらなければ除雄する手間がはぶけます。
1925年アメリカ(カリフォルニア)の畑でオシベが無い赤玉葱が発見されました。
発見したジョーンズさんは「これは面白い」とその赤玉葱のメシベに他の玉葱を受粉させました。
すると母親の性質が遺伝して、次に出来た玉葱たちもみんな雄性不稔になりました。
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以来、自然界にごくわずかな割合で雄性不稔が生まれることがわかってきて、ほかの野菜でも雄性不稔を見つけては増やしていき、F1種の片親に利用するようになっていきました。
今では多くのF1種が雄性不稔を使っていると言われています。
(実際にはタネの世界はブラックボックスと言われていて情報がとても少ないです。それでもタネメーカーに問い合わせるとそのタネが雄性不稔かどうか返信が来たりもします。)
雄性不稔には賛否両論あります。
賛成派の意見→食のそもそも話 6 参照
反対派の意見→食のそもそも話 7 参照
2023年10月4日 月田商店 店主 月田瑞志