食のそもそも話 7 ✳︎ 雄性不稔は「多様性の獲得説」

(雄性不稔の基本的な仕組みは食のそもそも話 5をご参照ください)

賛成派には2つの意見を見かけます。
「多様性の獲得説」「性能は移らない」
そして反対派には「遺伝子の異常説」があります。
3回に分けて書いてみます。

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多様性の獲得説
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雄性不稔は「花粉が出来ない」→人間に例えるなら無精子症とも言えますが、一方で、強制的に雑種になる方法ともとれます。

多くの野菜(植物)では雄性不稔はごく稀に出来るものと言われていますが(数千〜数万株にひとつ)、一方でハマダイコンという野生の大根は高い確率で雄性不稔が出て来ます(40%とも)。

こうなると、病気ではなく生き残るための戦略ではないか?とも考えられます。

そもそも植物にも動物にも(ボクらにも)、オスとメスがいる理由は「多様性」のためだと言われています。
お父さんとお母さんが混ざって家族それぞれ、街それぞれ、違う特徴になることで同じ病原菌で地球のみんなが絶滅しないですみます。

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例その1 SEXの起源は35億年前。


超大陸が今の6大陸に分かれて(大陸移動説)海が分かれ、場所場所に栄養のかたよりが出来たために生き物がオスとメスに分かれてSEXを始めたと言われています(アメーバの様な祖先を想像しましょう)。

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例その2 ミジンコの不思議


ミジンコは通常はメスだけの世界です。
メスがメスを産み(SEX無し)、池の中はメスしかいないのが普通の状態。
いっぺん、池が枯れ始めたり、栄養が少なくなるとメスがオスを産んで、そのオスとSEXを始めて様々なミジンコの世界に変わるそうです。
絶滅しないためにはSEXが必要なのですね。

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話を戻しますと、ハマダイコンに雄性不稔が多いのも ” あえて ” 雑種になりやすく進化したのではないか。

そう考えると雄性不稔は病気ではなく、戦略なので、その野菜が不健康だとは言えない。
なので大丈夫!

というのが「多様性獲得説」です。

2023年10月4日 月田商店 店主 月田瑞志