食のそもそも話 17 ✳︎ 固定種とF1種を ” 物流の視点 ” でくらべる
固定種の野菜とF1種の野菜とでは ” カタチ ” が違います。
F1種の野菜はメンデルの法則というものが働いてカタチがある程度そろって育ちます。
F1種のタネの登場で野菜に ” 規格 ” が出来ました。
5キロ箱、10キロ箱にLサイズ何本、Mサイズ何本と分けて箱詰めします。
農家さん→農協→市場→八百屋(スーパーマーケット含む)へ流れます。
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市場に行くとパレットと呼ばれる大きな木の台に同じサイズの野菜が何十箱も積み上げられて置かれています。
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【F1種の流れ】
畑でまとめて収穫→まとめて箱詰め→農協へ。
農協では周りの農家さんから集まった野菜を同じ規格ごとにパレットに積み上げてフォークリフトでトラックへ。
トラックが市場に着くと、市場のフォークリフトで降ろされて、パレットごと市場に並んでいきます。
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ひとつのパレットは同じサイズの野菜です。
それが何パレットも並んで置いてあります。
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スーパーマーケットも街の八百屋も、同じ規格のものをまとめて仕入れます。
それは売り場を作るためです。
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ひとつの野菜の売り場を作るためには、店頭でその場所を確保して、ポップを書きます。
たとえばその日に胡瓜を10箱仕入れたなら、1本いくらでポップを書けば1日使えます。
なのでその10箱は同じサイズのものを仕入れて来ます。
同じ規格の野菜は1年を通して市場に並んでいますので、売れ行きが良いサイズがあれば同じ売り場で同じポップで長く販売できます。
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F1種の登場でスーパーマーケットも街の八百屋も、こうして「1本いくら」のポップになりました。
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【固定種は?→直送】
固定種の野菜にはそもそも規格にあてはめられません。
メンデルの法則が働かないので1本1本バラバラの大きさです。
それにカタチもまっすぐだったり、曲がっていたり、二股になっていたり、色々です。
ですので1箱に何本詰めということが出来ません。
固定種は農協には行かず、市場にも行きません(※ )、道の駅にもあまり並ばないように思います。そもそも作っている方がかなり少ないのです。
固定種はネットで調べて直接農家さんから直送してもらったり、固定種専門の宅配八百屋もあります。
そうした小さな流通が、固定種の農家さんとの共生関係になっています。
※ 一部例外のジャンルあり。キク科(レタス、ゴボウetc.)、マメ科(スナップえんどう、いんげん)などは市場でも八百屋でもすべて固定種だと言われています。