食のそもそも話 25 ✳︎ F1種について月田が思うこと

月田商店は固定種や在来種の野菜を中心に販売しています(8割〜9割)。

F1種の野菜は1割〜2割ほどです。

固定種や在来種を「昔ながらのタネ」と言い、F1種を「今風のタネ」と言っていたりします。

✳︎

こんな風に話していると、「F1種はダメな野菜なのですか?」と訊かれることがあります。

ボクは「使い分けです」と答えるようにしています。

✳︎

食のそもそも話を書き始めたとき、最初のテーマにF1種を選びました。

理由は、F1種にたいして、正しい認識と、ねじれた認識とが混ざり合い、F1種の本当のところがきちんと世間に伝わっていないと感じてきたからです。

F1種の正しい認識は固定種や在来種と比べるときに役に立ちますが、F1種のねじれた認識は、F1種そのものを否定してしまいます。

ボクはF1種を肯定的に考えています。

✳︎

F1種はメンデルの法則※ という植物の性質(自然の原理)を活かした技です。

そこに機械をつかうのではなく、いっぽう野菜の花粉をもういっぽうの野菜のめしべに付けてあげるだけです。

これで野菜が交配されて、特徴が混ざり、作りやすいもの、食べやすいもの、甘いもの、苦味が少ないもの、柔らかいもの、そうしたメリットを研究してタネメーカーが販売しています。

※ 交配すると、欲しい特徴を混ぜたり、育ちやすかったり、収穫しやすかったり、そうしたメリットがある。

F1種は自然の中にあるルールを見つけて活かしている。

人間の知恵だと思います。

✳︎

大切な蛇足

F1種に対して否定的な見方をするならば、それは雄性不稔(ゆうせいふねん)を使っているかどうかです。

これは、おしべが無かったり、おしべがクシャクシャだったり、そうして花粉を作れない(作らない?諸説あり)、そうしたものを雄性不稔の野菜と呼びます。

ここに対しては疑問が残ることも確かですが、すべてのF1種が雄性不稔を使っているということでは無い様です(タネメーカーにメールで質問すると返答が返ってきます)。

また、雄性不稔の健康被害を証明することも難しいのです。