食のそもそも話 27 ✳︎ 在来種について月田が思うこと

在来種という言葉の説明は食のそもそも話 9 をご参照ください。

その上でもう少し書き足してみますね。

それから在来種についてどう思うか、を書いてみます。

※ 月田商店では在来種も固定種も「固定種」と書いていたりします。自家採種とも書きます。

ざっくりは、固定種、在来種、自家採種、同じ感覚でお買い物して大丈夫です。

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まず簡単に在来種を説明させて頂きますね。

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在来種はその土地土地に馴染んで育っている野菜です。

野菜(植物、生き物、人間も)は長くその土地に根付いているうちに色々なことで変化していきます。

太陽の時間の長さや強さ、雨が多い少ない、風が強い弱い、土が赤土か黒い土か、そうした気候風土を子孫に伝えて葉っぱや茎のカタチを変えていきます。

馴染んでいきます。

これを ” 馴化(じゅんか) ” と呼んだりします。

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代表的なおはなしは、江戸時代に長野県の住職が大阪から持ち帰った「天王寺かぶ」のタネが野沢温泉村に根付き、変化して、「野沢菜」になったと言われています(野沢菜も根元にはカブが出来ます)。

(もっともこの例には諸説あるという噂があったような、、。いずれにしても野菜は変わっていき、じきにその土地の野菜に落ち着きます)

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では、固定種と在来種はどう違うのか?

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固定種はその野菜をより純血種にするために、他の野菜や植物の花粉が飛んでこないようにします。

山奥で孤立させて育てたり、ネットを被せたり、ときには部屋で囲ったり、そうした工夫で純血種にしたものを固定種と呼んでいます。

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一方で在来種はそこまでがっちりした純血種を狙っていません。

その土地に馴染んだカタチですのである程度の変化を終えて最終形態になっているとして、それでも近くの花粉が飛んできたりミツバチが運んできたり、そうして一部他の野菜の花粉がついたとしてもそれはそれ(もちろん違和感があるものは育てながら省いていくでしょう)。

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日本人に例えると、

固定種はがっつり鎖国した状態で純血の日本人を目指している。

在来種は鎖国はしていないので時にほかの国からも人が来る、でもだいたい日本人でしょう。

そんな感じです。

純度のちがいですね。

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在来種を月田どう思うか?

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面白いと思います。

ある程度の変化を終えてその土地に馴染んだ野菜。

それを几帳面に守る固定種も素敵ですが、自然の変化にゆだねるというのが在来種なら、それは自然のこと。

僕としては変化を楽しんでいます。

味も一様ではありません。

去年のあの野菜と、今年のこの野菜、味が違っていて、それを含めて楽しんで頂ければ嬉しいです。