食のそもそも話 1 ✳︎ タネのちがい

野菜は、実はその「タネ」で食味が変わります。
無農薬やオーガニックというキーワードは意識しても、タネのことを考える機会は少ないかもしれませんね。
月田商店では固定種と呼ばれる昔ながらの野菜を中心に販売しているため、その味の違いを確信しています。

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タネには大きく2種類あります(※ 1)
F1種(えふわん)と呼ばれる「雑種の野菜」と、
固定種(こていしゅ)と呼ばれる「純系の野菜」です。

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F1種は雑種です。
雑種にすることでメンデルの法則(※ 2)と雑種強勢(※ 3)がはたらき、

▪︎ 綺麗にカタチがそろったり
▪︎ 1年中作れたり
▪︎ 病気や生理障害になりにくかったり

こうしたメリットがあるため大手タネメーカーが研究したF1種のタネを使うのが現代農業の当たり前になっています。
F1種は自然界のルールを活用しているため、僕は「使い分け」だと思っています(雄性不稔※ 4は未解決の課題ですが)。
” 歩留まり ” が良いF1種は、戦後復興の日本を支えてくれたはずです(そして今も)。

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いっぽう固定種は昔ながらのタネです。
雑種にしないで、その野菜同士を受粉させてその野菜のタネをとる。
江戸時代まではごく当たり前に農家さんみんながやっていた、純系の野菜たちです(※ 5)。

固定種は

▪︎ 味が濃かったり
▪︎ 香りが強かったり

美味しいという方もあれば、苦手という方もいるかもしれません。
月田商店の経験では、総じて固定種は美味しいと言っても良いと思っています。

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※ 1 F1種、固定種、それぞれに度合いもあり、細かくは4種類と言いたいところです。

※ 2 1865年に発見された遺伝の法則で、自然界の中に見つかった交配のルールです。遺伝子組み換え(自然界では起こりえない)ではありません。1900年にその論文が再発見され、戦後に農業の中心に。

※ 3 交配させた両親の血筋が遠いほど発育が良くなる性質(人に例えるとハーフ、その逆が近親相姦)

※ 4 雄性不稔(ゆうせいふねん)。F1種にする過程で花粉が出来ない野菜(雄の性質が稔らない)が多く使われていると言われています。詳しくはhttps://tsukida.jp/ →野菜のあれこれ→食のそもそも話 4〜8を参照

※ 5 正確にはその純度が高いものを「固定種」、野放しながら純度がある程度高いものを「在来種」、専門的には使い分けがあります。ですが、一般感覚では同じだと考えていて問題ありません。