食のそもそも話 38 ✳︎ 塩の話(中編) 「かん水」をおさえておこう。

 
そもそも話 37 塩の話(前編)では「結晶濃度」のことを書かせて頂きました。
今回はその続きになります。

是非、結晶濃度をきちんと押さえてからお読みください(解りにくいと感じたらいつでもLINEでお聞きください)。
 
 
今回は「かん水」について書かせて頂きます。
 
 
海水から塩を作るとき、海水をいきなり釜炊き(釜に入れて火にかける)をするのはエネルギー効率が悪い。
 
 
海水は塩分約 3 %
 
 
頑張って炊いても少ししか塩が出来ません。
その割に火をたくさんたくさん使うことになる。
 
 
そこで塩作りの現場では昔から「かん水」を作りました。
 
 
かん水とは「濃い海水」のこと。
 
 
海水(塩分約3%)を色々と工夫して「かん水」(塩分約13%)にして、そうして「かん水」を釜炊きすれば程よいエネルギーで多くの塩が出来る。
 

自然海塩 (Aランク)、再生加工塩 (Bランク)、精製塩 (Cランク)はそれぞれに違った方法で「かん水」をつくっています。
※ ランクはあくまでミネラルバランスの視点です。
どの塩も無いよりはあった方が良いのです。
 
 
ちなみに、岩塩 (Cランク)は塩化ナトリウムを直に掘り出すので「かん水」にする手順はありません。
また天日塩 (Cランク)も工業用の塩ですので塩化ナトリウムを分離するのみ。かん水とは無縁です。
 
 
さて本題、「かん水」の作り方をそれぞれ書かせて頂きます。
 
 
【精製塩のかん水】赤いフタの食卓塩、並塩
海水を入れたタンクにイオン交換膜なる板を2枚設置、海水が3分割された状態で電気を流す。
そうすると真ん中に塩化ナトリウムが集まってかん水になります。
メリットは便利で早いこと。
デメリットは塩化ナトリウム以外のミネラルがほとんど除かれてしまうこと。
 
 
【再生加工塩】シママース、伯方の塩、赤穂の天塩
メキシコやオーストラリアで作られた天日塩(工業用のため約99.9%塩化ナトリウム)を輸入してきて、日本の海水(塩分約3%)に溶かして、かん水にする。
メリットは安く作れて、約80種類のミネラルをまとわせることができる→味がまろやかになる。
デメリットは、それでも約80種類のミネラルバランスはくずれていること(理由、ほとんどは天日塩なので塩化ナトリウムが多い)。
 
 
【自然海塩】海の精、されど塩 (伯方の塩のブランド塩)
海水をポンプで汲み上げて霧状に降り注ぎます。霧状の海水は表面積が大きくなるため蒸発をうながし、そこに海風が当たることでより蒸発、さらに下まで落ちた海水は斜面をゆるやかに流れていき(天日で蒸発)、それをまた汲み上げて上から降らす。
それを約2週間繰り返して「かん水」にしています。

 
ほかにも「かん水」をつくる方法は色々とありますが、今回は代表的な3つを解説させて頂きました。
 
 
こうして「かん水」をつくったのち、どのメーカーも、昔の人たちも、それを釜炊きして、かき混ぜながら一晩で塩にします。
” かき混ぜながら ” がミネラルが分離しないコツです。

 
塩について解らない点があればいつでも店頭でお尋ねください🌱
 
 
次回は塩の話(後編)、塩づくりが禁止された歴史と、戦った方たちの話を書かせて頂きます。