食のそもそも話 57 ✳︎ 逆に「耕す意味」を考える②慣行農業の場合〜なんで耕すのだろう?〜

 

 

【慣行農業】

農薬や化学肥料を使って育てる一般的な農業。

日本では99.5%が慣行農業だと言われています。

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ここまでは「極力、耕さない」を基本として書いてきましたが、そんなボクも横山さんと出会うまでは畑といえば耕すものだとずっと思ってきました。
(今ではすっかり耕さない美学に酔っています)
 
 
「農耕」という言葉があるくらい、耕すことは当たり前になっています。
これは現代に限らず、おそらく大昔からの常識なのではないかと思います。
 
 
そのことについても横山さんと話し、自分なりに見聞きしてきたことを整理すると、(慣行農業の世界では)耕すことには4つの意味があると考えます(※ )。
 
 
①土が柔らかくなる(と、考えられている)
 日本では99.5%の畑で化学肥料を使っていると考えられます。化学肥料を入れた畑はどんどん硬くなると聞きます(微生物が少ないからそうなると言われています)。ですので、トラクターで粉砕して一時的に柔らかくする。
 
 
②作業効率が良くなる
 横山さん曰く土が一面に平らになっていると作業効率がうんと良くなるそうです(それでも横山さんは草を生やしておく)。
土を盛り上げて畝(うね)をつくるときなども、草や根っこが邪魔になるため、最初に畑一面にトラクターをかけるのが常識なのでしょう。
 
 
③見栄えが良い = 世間体
 茶色い土が綺麗に出ていることで、周囲に「管理」をアピールできる(らしい)。
草が生えた畑よりも、畑の角まで四角く一面に土が見えている畑の方が「あの人はちゃんとしている」と、なる様です。
実際に農家さんがそう話しているのを聞いたこともありますし、ある農家さんは農業を引退したあとに新しいトラクターを買っていました。
その理由は、野菜は育てなくても、畑は綺麗に土を見せておかないといけない。
そうした理由だと言います。
この自然観からかけ離れた人間社会的な美学?はどうやら根深い様です。
 
 
④すきこむ
 刈り取った草や肥料などを土の中に混ぜ込んでいくことを「すきこむ(鋤込む)」と言います。場合によっては野菜を育てる前に、土を改善する目的で別の植物を育てて、それを刈り取って、その後にトラクターですきこんでいくという話も聞きます。
 
 
(※ )このうち①③④については個人的に良い印象を持っていません。味と健康を第一に求めるなら、できればあまり耕さない方が良いのだろうと思うからです。
 
 
「耕す」「耕さない」の話を書いてきましたが、ひとまずこのくらいだと思います。
また浮かんだり新しく知識を得たら追記することにします。
 
 
 
2024年6月8日 月田商店 月田瑞志