食のそもそも話 65 ✳︎ 旬の野菜は、栄養たっぷり(前編)

 

食のそもそもシリーズは2023年2月にスタート。
ほぼ毎週1話ずつ、野菜のあれこれページに綴っています。
 

内容は、食材 (八百屋まわり)の目利きとその仕組みについて、八百屋の視点で見て知って理解してきたことを整理しながら書いています。
 
 
生産者さんに会う機会も多く、講演会や勉強会にも参加し、さらにお客様から野菜の感想もいただく、そうしたことを重ねています。
 
 
その経験を整理することで食の本質をみなさまと共有して、「社会をもっと面白く豊かなものにしたい」というのがボクの野心です。
このシリーズはその第一歩としての脚本づくりです。
(シリーズぜんぶが書き終わったら、動画または音声で発信していく予定です。未来はシリーズでアニメーション動画にする予定)

 
 
さて、ここ何回かで「旬 (しゅん)」について整理しています。
旬の4つのメリット、美味しい、安い、栄養、安全。
今回は「栄養価」についてです。
 
 
先に結論
◾︎旬の野菜は、旬でない同じ野菜とくらべて、だいぶ栄養が多い
◾︎その理由は、旬が育む栄養と、逆に旬でない同じ野菜は、たとえばハウス栽培が太陽をさえぎることで栄養が育たない。
 

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今回は前編として、季節によって栄養価がちがうということを詳しく書かせて頂きます。
 
 
食品成分表(文部省)の2010年版(六訂)でも、2020版(七訂)でも、同じ5ページに「季節によるビタミンCの比較」としてほうれん草の比較グラフが載っています。
 
 
ほうれん草 (生食)のビタミンC
夏採り 20mg (100㌘あたり)
冬採り 60mg (100㌘あたり)
 
そして、実際のほうれん草のページに飛ぶと、2010年版(六訂)では35mg、
2020年版(七訂)では35mg、夏採り20mg、冬採り60mg、と分かれて載っています(※ ほうれん草だけは例として分かれて書かれていますが、他の野菜については同じ1行にまとまって平均値しか書かれていません)。
 

【寄り道】
要注意ポイントとして、こうした数字はあくまでどういう育て方をした野菜なのかによって検体に差があるはずです。
農薬や化学肥料の使用量、土の中の微生物の量によって、または鮮度によっても違ってくるはずですので、「数字」はあくまで「参考値」だと考えて欲しいです。
 
 
【本題】
さて、理由はさて置き(次回)、季節によってこうも栄養価に違いがあることがはっきりしています。
 
 
スーパーで野菜を買うとき、旬なのかどうか、頭の片隅に置くだけで健康コスパが変わってくるだろうと思います。
有難いことに、栄養価が高いもの = 美味しいという式も成り立つだろうと思われます(仮説)。
 
 
また、おそらく多くの学校や保育園の給食は栄養計算ソフトを使っていて、そのデータは食品成分表を元にしていると聞きました。
つまり、給食に関しても旬の食材が使われているかどうかで実際の健康コスパは変わってくるはずで、それはソフトを使う栄養士さんの「旬の理解」にゆだねられます。
(献立表を見れば、その学校の食の捉え方、向き合い方の一面が見られると思います)
 
2024年8月24日 月田商店 月田瑞志