食のそもそも話 50 ✳︎ 「耕さない」ことの意味を考える① 根をつよく張る(前編)

 

食のそもそも話は46から「土と植物」編になっています。
あの季節、疫病で全滅していく周囲の里芋畑をよそに、「今年は豊作だ」といわしめた横山秀男さんの畑。
この畑で何が起こっているのか、ボクなりの考察を順々に書いています。
 
 
さて、今回からおそらく6回ほどに分けて「耕さない」ことの意味を考えてみます。
不耕起栽培という言葉がありますが、耕さないことの意味をくわしく考えていきます。
 
 
耕さないことの意味①、それは根を深く張らせるためです。今回と次回に分けて書いていきます。


 
 
写真は2021年1月9日の横山秀男さんの畑で撮影した「日本ほうれん草(固定種)」です。
根っこが太く長くさらに先の方には細かな根っこが張っている様子が伝わると思います。
 
 
横山さんのお師匠さんである趙漢珪(ちょうはんぎゅ)さんの著書「土着微生物を活かす(農文協)」の24ページにこう書いてあります。
 
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たとえば作物の根についても、今までは深くやわらかく耕すほど根にとってよいということでした。
しかし実際には深耕した畑で育った作物は引っ張ればすぐ抜けてしまいます。
それに対して、耕さないで植えた作物を抜こうとすると、茎が切れてしまいます。
どちらの根が深く張ったでしょうか。(趙漢珪さん)

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耕さない = 土が硬い = 根が頑張る、ということではありません。
いや、もしかしたらそうした野生味もあるかもしれませんが、そうではなく、土の中では耕さないことで色々なことが起こっている様です。
 
 
参考になるYouTube動画があります。
この動画では深く耕した畑と、浅く耕した畑で、根っこがどうなっていくかを伝えています。
 
 
YouTube「土は生命体」で検索。
全体としては11分55秒の動画ですが、その中で「深く耕さない」ことの意味を1分35秒〜2分50秒にかけて解説されています(1分15秒間だけ集中して観てみてください)。
 
 
横山さんの日本ほうれん草の根っこ、趙漢珪さんの本、土は生命体の動画、これらを合わせて考えると、確かに耕さないほうが根を強く張るのだろうと思えます。
 
 
次回は、耕さないと根を強く張る仕組みをもう少し考察します。
 
 
2024年4月13日 月田商店 月田瑞志