食のそもそも話 58 ✳︎ 土の話を整理してみる 〜微生物がボクらに恵んでくれる6つのメリット〜
野菜にとって。
否!ボクらにとって、よい土とはなんだろう?
そう考えると答えはひとつになりました。
『微生物がたくさんいる土』
これまで書いてきたことを整理して、微生物が恵んでくれるメリットを6つ書き出してみました。
微生物がたくさん暮らしている土は何がよいのでしょうか?
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【美味しさの秘訣】
①根っこをつよく張れる
②広範囲の栄養(ミネラル)をもらえる
③たくさんの種類のミネラルをもらえる
【農業と地球の味方】
④団粒構造が水を調整してくれる
⑤菌糸ネットワークが保険組合をつくる
⑥病原菌から守ってくれる
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【くわしく解説】
①根っこをつよく張れる = 美味しくなる(説)
根っこの先の先、細かな根っこは生えては腐りを繰り返している様です。そんな中で微生物がいない畑では根っこが腐ってしまい育っていかず、一方で微生物とパートナー関係になれた根っこは元気に育つと言われています。そうして根っこが育つと野菜としても栄養を獲得する面積が増えるので、土の中の栄養をよりたくさん吸い上げて、美味しくなるはずです。そうした野菜はカラダにも良いでしょう。
→詳しくは50、51を参照
(参考文献「土着微生物を活かす」趙漢珪 著 24ページ)
②広範囲の栄養(ミネラル)をもらえる
根っこが張れる範囲には限界がありますが、微生物たちは土の中を動けます。野菜が光合成してつくった糖分を根っこを通して微生物に分けてあげて、微生物たちは土の中の栄養(ミネラルたち)を根っこを通して野菜に分けてくれると言われています。
③たくさんの種類のミネラルをもらえる
慣行農業(主要ミネラルなど約15種中心に育てる)では得がたい超微量ミネラル(70種ほどのマニアックなミネラルたち)を微生物たちが巡らせてくれると言われています。ミネラル(広義)は全部で88種(諸説あり)、これらすべてとは言えないまでも微生物が多いほどミネラルの種類に期待が持てると考えられます。マグネシウムは苦味と旨味、カリウムは酸味だと言われていますが、それならばそれぞれのミネラルにも味があるはずです。そうでなければ例えば天然水の味の違いを説明できないでしょう。同じH2Oなのに絶妙に味が違うのは地域ごとに水に含まれているミネラルたちの違いのはずです。
→詳しくは48を参照。またミネラルについては30を参照
④団粒構造が水を調整してくれる
微生物がつくる団粒構造(だんりゅうこうぞう)が貯水と水はけの両方をやってくれるため、日照りが続いても湿り気を保ちやすく、逆に雨が多くても水たまりの畑にはなりにくいと言えます(水が多くても野菜は根腐れしてしまう)。
ニュースでは協生農法が砂漠の緑地化に成功しているのは植物と微生物の連携プレイでしょう。
また逆に、大雨のあとに水浸しになった畑(慣行農業)と、そのすぐ隣の水がきちんと無くなった畑(無農薬)の比較写真を見せて頂いたことがあります。団粒構造は畑の水量をよい塩梅にしてくれます。
→詳しくは53を参照
⑤菌糸ネットワークが保険組合をつくる
微生物がつくる菌糸が近くのいろいろな植物の根っこ同士をつないで、栄養交換のネットワークをつくっているという研究結果があります。雨が多いと枯れてしまう植物、乾きに弱い植物、暑さや寒さなど植物ごとに得意な気候がある中で、栄養を分け合うことでお互いに生き残りやすくなる。
そうした地下ネットワーク(保険組合)の仲介役が微生物たちだと言われています。
→詳しくは54を参照
(参考文献「超・進化論 生命40億年 地球のルールに迫る」NHKスペシャル取材班+緑慎也 講談社 電子版25ページ)
⑥病原菌から守ってくれる
微生物と言っても、その野菜にとって味方の微生物もいれば敵の微生物もいると言われています。病原菌などがそうです。微生物(味方)は根っこの中や表面に暮らしながら防御壁をつくり、悪い微生物(病原菌)が根っこに侵入するのを防いでくれるという仕組みです。
無農薬の畑では野菜が特定の病気になると言われますが、それは微生物が足りない場合にそうなりやすいのではないでしょうか。
事実、全国的に里芋に疫病が蔓延した2020年に横山さんの里芋は元気でした。
→詳しくは46と52を参照
①②⑥の参考動画として
「PHC Film : 土は生命体」がオススメです。
https://youtu.be/jTEyhqyxxq0?si=ID8MxB4vC-MnuR33
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忘れていることや新しい発見があったら未来追記します。
また、微生物には計り知れないほど種類があると思われる中で「土着の微生物」という言葉があります。
それも大切なことだと思いますので、次回書かせて頂く予定です。