食のそもそも話 59 ✳︎ 「土着(どちゃく)」ということば

 

食のそもそも話はほぼ毎週1話ずつ、食材をえらぶときの ” 目利き ” につながるような事を書いています。
書いたものは野菜のあれこれページに綴っています。
1〜タネの話
30〜ミネラルの話
46〜土の話
この先は、野菜の話、発酵の話、遺伝子の話を書いていこうと思います。
最後の遺伝子の話は、僕自身勉強中ですので解ったところだけ書いてみようと思っています。
 
 
さて、今回はおそらく土の話の最終段階、「土着 (どちゃく)」について考えてみます。
 
 
本当は前回までで土の話を整理し終えたとも思っていましたが、何か抜けはないものかと考えていたときにこの言葉が浮かびました。
一般論としては認知されていないかもしれませんが、つい想いを馳せてしまいます。
 
 
土着 (どちゃく)って固い言葉ですよね、きっと。
ボクは八百屋になるまでほうれん草と小松菜の見分け方すら分からない人でしたし、農薬やら化学肥料やら、気にしないでも「これまで生きてきたし!」と思って軽んじていました。
 
 
そして30歳で八百屋になって、色々と知って、畑に触れて、農家さんと話して、お客様から口コミを頂いて、そうした繰り返しの中で、こうしたマニアックな言葉に想いを馳せる人になっていました。
 
 
では本題です。
土着というのは「その土地に長く住み着いていること (大辞林)」です。
 
 
この言葉は人や動物に使うのが一般的だろうと思いますが、横山秀男さんのお師匠・趙漢珪(ちょうはんぎゅ)さんは自身の集大成を本にまとめた際、そのタイトルを「土着微生物を活かす」としました。
 
 
趙漢珪さんは自身で無農薬を始め、その後日本でも暮らしてさらに知識を深め、今は韓国の無農薬をひっぱる大リーダーだと聞きます(20年前にすでに1万人の教え子さんがいたとか)。
そうした方が「土着 (どちゃく)」をとても大切に考えていらっしゃいます。
 
 
ここで言う土着は、微生物たちの土着のことです。
無農薬の農家さんたちの中には微生物をとても大切にする農家さんが多いと思いますが、土着 (どちゃく)の微生物という考えは、横山秀男さんに出会って初めて聞きました。
 
 
それまでもEM菌やSOFIX (ソフィックス)という方法で畑の微生物を増やす方法を知っていましたが、EM菌は沖縄で培養されたものが郵送されてくると言いますし、SOFIX (ソフィックス)もその畑を土壌診断したあとに足りない成分をブレンドした土が送られてくると言います。
 
 
趙漢珪さんの「土着微生物を活かす」の48ページにはこう書かれています。
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【土着にこだわる意味】
自然農業では基本的に地域外の微生物を拒否しています。 (中略)つまり地球が生まれて以来、その地域で培われ、その地域環境に強く、しかも多様な土着微生物を自然培養して活用しているのです。
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微生物と言うのは、0.1mm以下の目に見えない生き物たちをそう呼んでいます。
 
 
その種類はたくさん居すぎてわからないことだらけ、その生き方もわからないことだらけ、それでも世界の隠れた半分(以上?)としてこの世界を作っていることは間違いないのでしょう。 
 
 
人それぞれに腸内細菌群がちがい簡単には入れ替わっていかないと言われていますし、山や畑で土が団粒構造になるのも、微生物たちが菌糸で土をつなげて、雨風に棲家が流されないようにしていると言います。
 
 
きっと微生物たちは気に入った住み家を選んで、永く暮らそうとしているのでしょう。
そして、土着しているということは、その微生物たちにとって暮らしやすく、元気に生きて、栄養をたくさん巡らせてくれているだろうと想像できます。
それはきっと、畑の土が病気にかかりにくくなり、野菜にも栄養にも、良いことだと思います。
 
 
2024年7月6日 月田商店 月田瑞志