食のそもそも話 71 ✳︎ 土耕と水耕(前編) 「味がちがった」
【前説】
食のそもそもシリーズは2023年2月にスタート。
ほぼ毎週1話ずつ、野菜のあれこれページに綴っています。
内容は、野菜や調味料の目利きとその仕組みについて整理しています。
食の ” そもそもの知識 ” をみなさまと一緒に手に入れたら、新しい社会が見られるだろうと信じています。
このシリーズはその第一歩。
文字だと伝わりにくい分野です。
ぜんぶが書き終わったら動画や音声で発信していくつもりです。
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土耕と水耕(前編)
「味がちがった」
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たしか2014年頃、八百屋の勉強会でレタスの食べくらべをしました。
ひとつは岩手県の畑で育った土耕のフリルレタス。
もうひとつは千葉県の植物工場で育った水耕のフリルレタス。
八百屋の皆さんや一般参加の方、35人ほどで食べくらべをしました。
最初に土耕(畑でそだった)のフリルレタスを食べて、そのあとに水耕のものを食べました。
目隠しはなかったので先入観が無かったとは言えませんが、あきらかに食味に違いがありました。
あくまで、良し悪しということではありませんが違いを書くと、
土耕の方は、少し固く?(クニュっとした感じ)、噛むと最初に苦味があり、そのあとよく噛んでいくと甘味やほかの味を感じました。
水耕の方は、柔らかく?(シャキッと歯切れが良く)瑞々しさが広がり、ですが味はあまりしませんでした。
簡単に言うと、土耕は味があり、水耕は瑞々しい、そんな感じです。
作り手がちがうということは、細かく言えばタネも違う(同じフリルレタスでも)ため、きちんとしたABテストにはなっていませんが、それでもおそらくは普遍的な結果なのでは無いかと考えます。
次回は、土耕と水耕 (中編)「なぜ味がちがう?」を書いてみます。
【余談】
ボクが座っていたテーブルでは(ボクも含めて)土耕の方が美味しいと話していました。
最後には会場全員(35人ほど)に美味しいと思った方に手をあげることになりましたが、やはり30人ほど(記憶)は土耕に手をあげました。
ボクはこの結果を当然だと思っていましが、意外にも水耕に手をあげた方も5〜6人いました。
八百屋の勉強会は中年層が中心ですが、水耕を選んだ方々は20代に見えました。
司会者が理由を聞くと、
「瑞々しくて、味も食べやすかった」
と答えたのを覚えています。
これは年齢差による味覚のちがいか、それとも時代による味覚のちがいか、もしくはたまたまか、、
このとき、
自分が考えている ” 味の正解 ” が崩れた様で、ちょっとショックでした。
そして独りよがりの押し付けかもしれませんが、未来、この方々に、もう一度土耕のレタスを噛み締めてみて欲しいとも感じたのです。
2024年10月26日 月田商店 月田瑞志